第一章 暴力団

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「邪魔をするぞ」 「なにもんだ!」  一人の男が声を荒げた。 「貴様らなんぞに、名乗りは不要」 「んだと、こらぁっ!」  怒りを爆発させた男が、殴りかかってきた。  ヴァノは刀に触りもせず、男の手首を捻り上げた。 「痛い痛い!」  じたばたと暴れる男を押さえつけた。 「動くな」  左手で柄を握り、抜刀すると、男の首に刃を当てる。 「な、なんだよ、その刀……!」  男達四人は刀を見て仰天した。  ダークパープルの刀など初めて見たからだろう。人の命を狩るモノであるのに、それは見る者を魅了するほど、美しかった。 「見惚()れるのも無理はないが。まず、貴様らが殴っていた男の拘束を解け」 「突然やってきて、そんな指示、聞けるか!」 「では、殺してしまおう」 「ま……!」  人質に取られた男が止めようと声を出したが、それは途中で途切れた。  精確に頸動脈を斬りつけられ、鮮血を噴き出しながら、つい先ほどまで生きていたは、どさりと倒れた。 「ま、マジかよ!」  四人は動揺していた。  はったりなどではなかったのかと、今さら思い知った。 「さて、貴様らもここで死んでもらおう」  鮮血に塗れただろうヴァノはそう呟くと、次々の男達四人を殺した。  地獄と化す中で、鮮血を頬につけたまま、ヴァノは生かしておいた男の前までいき、腕の縄を切った。 「ひとつ、聞きたい」 「なんだ?」 「助けて、くれたのか?」 「さてな。こいつらに殴られ続けて死ぬよりは、マシだろう?」 「確かにな。一思いに、殺してくれ」 「じゃあな。生きることに絶望した者よ」  ヴァノは呟くように言い、男の心臓を刺し貫いた。  男達の絶叫がかなり響いたのだろう。  奥からナイフを手にした男達五人が出てきた。  五人とも鞘を捨てて、ナイフを構える。  ヴァノは溜息を吐き、だっと駆け出した。  右から順に、一撃で急所を突き、骸へと変えていく。  男達を次々に血祭りに上げる。
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