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「邪魔をするぞ」
「なにもんだ!」
一人の男が声を荒げた。
「貴様らなんぞに、名乗りは不要」
「んだと、こらぁっ!」
怒りを爆発させた男が、殴りかかってきた。
ヴァノは刀に触りもせず、男の手首を捻り上げた。
「痛い痛い!」
じたばたと暴れる男を押さえつけた。
「動くな」
左手で柄を握り、抜刀すると、男の首に刃を当てる。
「な、なんだよ、その刀……!」
男達四人は刀を見て仰天した。
ダークパープルの刀など初めて見たからだろう。人の命を狩るモノであるのに、それは見る者を魅了するほど、美しかった。
「見惚れるのも無理はないが。まず、貴様らが殴っていた男の拘束を解け」
「突然やってきて、そんな指示、聞けるか!」
「では、殺してしまおう」
「ま……!」
人質に取られた男が止めようと声を出したが、それは途中で途切れた。
精確に頸動脈を斬りつけられ、鮮血を噴き出しながら、つい先ほどまで生きていたそれは、どさりと倒れた。
「ま、マジかよ!」
四人は動揺していた。
はったりなどではなかったのかと、今さら思い知った。
「さて、貴様らもここで死んでもらおう」
鮮血に塗れただろうヴァノはそう呟くと、次々の男達四人を殺した。
地獄と化す中で、鮮血を頬につけたまま、ヴァノは生かしておいた男の前までいき、腕の縄を切った。
「ひとつ、聞きたい」
「なんだ?」
「助けて、くれたのか?」
「さてな。こいつらに殴られ続けて死ぬよりは、マシだろう?」
「確かにな。一思いに、殺してくれ」
「じゃあな。生きることに絶望した者よ」
ヴァノは呟くように言い、男の心臓を刺し貫いた。
男達の絶叫がかなり響いたのだろう。
奥からナイフを手にした男達五人が出てきた。
五人とも鞘を捨てて、ナイフを構える。
ヴァノは溜息を吐き、だっと駆け出した。
右から順に、一撃で急所を突き、骸へと変えていく。
男達を次々に血祭りに上げる。
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