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 女の子は困ったように笑いました。 「元気でね」  そう小さな声で言って、僕たち兄弟をおいていってしまいます。 「ねぇ、どうして行っちゃうの」  一生懸命呼びかけても、女の子はふり向いてくれません。 「やめときな」  一匹の兄弟が言いました。 「捨てられたのよ。私たち」  別の兄弟が冷たい声でつけ足します。 「どうして?」  きくと、兄弟はあきれたようにタオルの上にこてんと転がりました。 「そういうもんなのさ。あの人間たちの力だけでは僕たち六匹はとても育てられない」 「よく分らないけど、私たちにごはんを食べさせるためには『おかね』ってものがいるみたいよ?」  末っ子の子猫が言いました。 「それにしたってひどいと思わないか?」 「ここにあるカリカリとミルクがなくなったら、どうすればいいの?」 「食べなかったら死んじゃうってお母さんが言ってた」  他の兄弟たちも口々にさけびます。 「しー、しずかに」  さいしょに僕に声をかけた一番上の子猫が、声をひそめます。
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