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そして、「本業の傍らで、猫の保護活動をされているなんて、素晴らしいですね。猫たちにとっては嬉しい限りです」と言われて、「いえいえ、そんなことは」と謙遜しつつも、小さくはにかむ。
音戸さんもですか?と内心で問いかけていたのは、ここだけの秘密である。
***
出された抹茶フラペチーノの、意外にも濃い抹茶の風味に舌鼓を打った後、お店の扉へ目をやって人通りが疎らなことを確認する。
そして、もう暫くここにいても大丈夫そうだな、と判断した私は、音戸さんに昨日の保護活動の話を切り出した。
「実は昨日の保護活動で、1匹、凄く綺麗な毛並をした猫ちゃんを発見したんですよ」
「どのような猫ですか?」
キュッキュッとグラスを拭きつつ、こちらを見た音戸さん。
その綺麗な黄金色の瞳を、見つめ返して告げた。
「音戸さんと同じ真っ白な毛並で――あ、勿論、最初は雑居ビルでの発見だったので、伸び放題で汚れてしまっていましたが、カットして洗うと凄く綺麗になりました」
「それは良かったですね」
と微笑んで相槌を打つ音戸さんに、「はい」と応じて続ける。
「あと特徴的なのは、ブルーの瞳ですかね。まだ病院で診てもらっていないので分かりませんが、たぶん聴覚障害を持っていると思います。もう子猫じゃないので、ある程度の自己判断は出来るとは思いますが、念のため注意した方がいいですよね……」
明日は病院に連れていく予定だから、みんなに協力してもらって、いつもよりも長めにシフト入ってもらわないと……と続けかけたところでふと視線を上げると、グラスを持ったまま、ピタリと静止している音戸さんの姿が。
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