1.事実は小説より奇なり

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 「さて、話を戻しますね。この新入生歓迎会には特別なルールがございます」  特別なルール?  「警察は一番最初に捕まえた人とのペア権が与えられます。泥棒は仲間に助けられる限り、何度でも逃げられますが一番最初に捕まった人とペアになります」  …ふーん。  「ペアになった場合は、警察が景品を選ぶことができます」  景品?  本とかかな。  「景品は色々あります。1年間学食無料券やテスト免除権などなどあります。  ただ、相手が役職持ちの場合、景品ではなく、デート権が与えられます。例えば、警察が私たち生徒会を捕まえた場合、私たち生徒会はその人とデートすることになります。  一度も捕まることなく、逃げ切った方には豪華な景品がございます。  皆さんの腕時計にはセンサーがついており、捕まった時にランプが点滅します。警察の人の腕時計は青色、泥棒の人の腕時計は赤色に点滅します。ですので、不正はできないようにしてあります」    そのルールを聞いた途端、チワワたちの声が響いた。それはもう最高級の声だった。  「基本的に役職持ちは泥棒です。では、参加する役職持ちですが、  生徒会全員  体育委員会の委員長  放送委員会の委員長  図書委員会の委員長  学級委員会の委員長    です。  保健委員会は怪我の手当てなどのため、不参加となります。そして、風紀委員会ですが、毎年制裁や強姦などが起こるためパトロールを行います。ですので、風紀委員会も不参加です」  アカリから『制裁』とか『強姦』の話は聞いていたが、本当にあるんだな。  「風紀委員長から伝言を預かっております。  問題を起こしたら、わかってるよな?  とのことです」  シーーーーーン。  あんなにうるさかったチワワたちや他の人たちが黙った。その反応からして、この学園の秩序を守る風紀委員長はかなり怖い人らしい。      「次の説明に移ります。  今から、警察と泥棒に分けますが前もって紙をわ渡されたと思います。その紙には数字が書かれています。  今からスライドにランダムな数字が表示されます。表示された数字の人が泥棒となります」  そういや、朝渡されたわ。紙。  「では、数字を発表します」  天国か地獄か。  生か死か。    「…オレたち泥棒だな」  「そうだな」  渡された紙を握りしめた。神様はオレたちに味方しなかった。  「まぁ、いい。オレには秘策がある」  「秘策?」  「ってことでお前は頑張れ」  栄一の肩を叩いてやる。  「今にもお前を食べそうな勢いでチワワたちが見てるぞ」  「…やべ」  
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