1.事実は小説より奇なり

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 「誰か…」  小さな声が聞こえた。その声は恐怖に満ちていた。まさか、制裁とか強姦か?  流はその声がする場所へと向かった。向かった場所は森の奥だった。誰も来ないような場所で可愛い顔をした男がガチムチ3人に襲われていた。被害者の服は破られており、殴られたのか頬が赤くなっていた。  まさに強姦の現場である。冷静だった流は、スマホを取り出し、録音と動画を撮り始めた。後で風紀委員長に渡すためである。  スマホを向けたまま、現場に突入する。わざとらしく。  「あれあれ?何やってんすか?」  見つかるとは思っていなかったのか、3人の男が焦り始めた。  「風紀委員長の忠告、聞いていなかったんすか?」  ゆっくりと、男達に近付いていく。  ガチムチA「なんだよ!その仮面」  ガチムチB「そんなことよりもそのスマホなんだよ!」  ガチムチC「お前、誰だ!?」  一気の質問攻め。オレは優しいので、順番に答えてあげた。  「この仮面は顔ばれしたくないから。スマホは証拠のために撮影してんの。名乗るほどの者じゃありません」  本当なら、殴って被害者を助けたいんだが・・・。  ちら、と腕時計を見た。そう、この腕時計はセンサーがついており、警察に捕まったら点滅するようになっている。つまり、触れただけでも逮捕されたのと同じ扱いになるのだ。  「質問に答えたから、オレの質問にも答えてくれるよな?」 低い声で威圧する流。  「お前らは泥棒か?それとも警察か?」  その質問にガチムチたちは「いや、俺たちはどっちでもねえよ」と答えた。どうやら問題起こした生徒は新入生歓迎会に参加する権利はないらしい。というか、お前ら問題児なのにもかかわらず強姦しようとしていたのかよ。  「あ、そう」  まあ、いい。それなら遠慮することなくお前らを殴ることができる。  「そこの少年くん」  泣きながら震える被害者に優しい声で話しかけた。「すぐに終わるから目を瞑って、待っててね」  被害者はコクコクと頷き、力いっぱい目を瞑った。  「よし、じゃあ、始めますか」  流は軽くストレッチしたあと、首をならした。  「はい、目開けていいよ」  恐る恐る目を開ける被害者。  「大丈夫?あいつらは拘束したから大丈夫だよ。そのうち、風紀委員会がやってくるんだろうから。保健室に行こう」  「あ、ありがとうございました・・・」  目に涙を浮かべる被害者。「どういたしまして」    流は被害者を保健室に連れて行くとすぐに、新入生歓迎会に戻った。  「…また問題児かよぉ!!!!」  制裁の現場に出会した流の叫びが森の中で響いた。まぁ、そこはさすがの流。迅速に解決した。  「…あれっ?オレ、頑張りすぎじゃね?」  頑張りすぎたので、休もう。  再び木の上に登り、終了時間まで寝ることにした。
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