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「はい、皆さんお疲れ様でした」
琥珀の凛々しい声で皆の視線が舞台に集中する。
「それぞれペアになった方がいらっしゃると思います。景品などはのちにメールなどでご連絡させていただきます。
そして、唯一逃げ切った生徒がいます」
オレです。
「その生徒には豪華な景品がある、と言いましたが急遽変更しました」
え?豪華な景品は?
「風紀委員長からプレゼントがあるとのことです」
現れたのは、雲雀さん(仮)だった。
「風紀委員長の澤村雄大(サワムラユウダイ)だ。
今年の新入生歓迎会はいつもよりも被害が少なかった。なぜ少なかったかと言うと、ある生徒が阻止していたことが分かった」
あ、雲雀さんじゃなかったのか。名前。そりゃそうか。
被害が少なかったんですね。よかったですね。
「ご存知の通り、毎年風紀委員会は人手が足りない。そこで今年からはスカウト式で委員を集めることにした。
被害を最低限に抑えたその生徒をスカウトしたい。そして、このスカウトを拒否することはできない。なぜなら俺の言うことは絶対だからだ。
俺がスカウトするのはーーー」
バチッと目が合った。流は冷や汗をかいた。
雄大はニヤリと笑い、指を指した。
「この新入生歓迎会を逃げ切った唯一の生徒。それは外部生であり、特待生の鏑木流だ」
「へっ?」
「俺はお前を風紀委員会にスカウトする。これが俺からのプレゼントだ。拒否権はない。放課後風紀委員会室に来い」
「」
「そのふざけた仮面を付けて来たら……わかってるよな?」
鬼がいました。
「アイアイサー!!!」
綺麗な敬礼が決まりました。
正義感で人を助けたら、風紀委員にスカウトされました。拒否権を与えられることなく、オレはそのまま風紀委員になりましたとさ。
「どうしてこうなった」
〈兄弟のLINE〉
『弟よ、新入歓迎会どうだった?』
『事実は小説よりも奇なり』
『え、え?何があったん!?』
『察しろ、バカ兄貴』
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