1.事実は小説より奇なり

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 実の兄に殺意を湧いたのは後にも先にもないだろう。  本当に殺してやろうかと思った。ーーこの辞典で。  「頼むよ!!!女神のためなんだ!!!」  「兄貴が恋愛で人が変わるタイプだと知ってはいたが、こんなにもひどいとは」  「だって!!!本当に可愛い女の子なんだぜ????」  「…で、オレは兄貴の女神のためにその、王道学園に入学するってこと?何をすればいいんだよ」    もう受け入れるしかないだろう。  「!!!ありがとよ!!!」  熱い抱擁をされた。嫌がってもびくともしない馬鹿力で抱きしめられているので、オレは諦めた。  「女神曰く、お前は王道転校生が総受けになるよう頑張ってくれればいいらしい」  「曖昧だな。よし、兄貴の女神呼んでこい」  その時だった。  「呼ばれてジャジャジャーン☆女神こと、佐野アカリですっ☆」  知らない女の人がオレの部屋に入ってきた。  「あっ!俺の女神!」  「大智くん!」  「」  カオスがそこにはあった。  「流くん!」  「あ、はい」  「私のことはお姉様とお呼び」  「え、嫌です」    なんだ、この人は。  キャラが濃すぎる。  「それにしても…」  ジロジロとアカリに見つめられる。そして、ニヤリと笑った。それはもう悪魔のようでした。  「大智くんから聞いてはいたけど、本当に綺麗な顔してるのね」  「自覚はあります」  「無自覚じゃないのね」  「無自覚なわけないでしょ。え、僕可愛くないですよぉ〜にはなりたくねぇんすよ」  「案外口が悪いわね」  
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