1.事実は小説より奇なり

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 アカリが登場してからはそれはもう本当に地獄だった。BLの知識を無理やり覚えさせられ、王道とは何かを力説された。    そして、オレはーーーーー  目の前にはでっかい門がそびえたっている。どこまで続くであろうジャスティン学園の敷地の広さにドン引きする。  ジャスティン学園の制服を纏い、これから始まる学園生活は地獄しか待っていない。  「どうしてこうなった」  オレは特待生として、ジャスティン学園に入学した。      入学式でもう気絶しそうになっている流がいた。  な、なんだここは…。  チワワらしき男がたくさんいるんだが??それに、イケメンもたくさんいる。  は?  ここ、顔面偏差値狂ってんのか?  流は気分転換しようと、本を読み始めた。中島敦の『山月記』。  これは何度読んでも心に響くものがある。満足そうに本を読んでいたら、  「何の本読んでるんだ?」  隣に座っている人から話しかけられ、流は顔を上げた。人の良さそうな男が座っていた。第一印象は爽やかな男だった。  「本?あぁ、これ」  本の表紙を見せる。  「『山月記』?難しそうな本読んでるな」  「なかなか面白いよ」  「ふーん。あ、俺、加勢栄一(カゼエイイチ)っていうんだ」  「鏑木流」  「見ない顔だと思ってたんだ」  「ああ、特待生だからな」  「まじ?頭いいじゃん」  栄一は実に話しやすい性格で、少しだけ憂鬱だった気持ちが晴れた。  「それはそうと、お前イケメンだな」  「え?ありがとう」  「どういたしまして」  「お前もイケメン、というよりもきれい系だね」  「どうも」  「あ、無自覚じゃないんだ」  「当たり前だろ」  
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