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 そう結論して辞去しようとする高梨に、朱鷺子が右手を差し出した。この老女は、こうして面会するといつも握手を求めてくる。老若男女を問わず、変わった習慣の持ち主だと高梨は思う。  失礼にならないようにそっと握り、すぐに離そうとしたが、彼女はやんわりと、しかし強く握り返してきた。何かを確認するような手のひらは、いつもひんやりしている。 「あなたの手は、いつも温かいですね。熱いくらいに」  満足そうに、朱鷺子は呟いた。  それこそが、最も重要なことだとでもいうように。
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