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リビングでは陽太がさっきと同じ姿勢でバラエティ番組を見ていた。
テーブルの上を見ると、お弁当の容器はまだそのままだった。
「ミャア!ミャア!ミャア!」
(陽太!お弁当の容器!片付けて!)
陽太のスウェットの裾を咥えてテーブルの方へと引っ張る。
「ん?みかん、どうした?」
「お父さん。もしかして、お弁当の容器片付けろって言われてない…?」
「へ?」
陽太が気の抜けた声を出す。
「さっき、みかんに『勉強しろ』って言われた感じがあったの」
神妙な表情で凛は父に告げる。
「いや、まさか…」
陽太の表情が固まっている。
凛は神妙な表情のまま、父を見つめている。
「もしかして、みかんって…」
「え…嘘だろ…?」
陽太と凛はお弁当の容器を片付けさせようと陽太の服の裾を引っ張り続けるみかんを凝視した。
「「まさか…ね…?」」
猫の姿 fin.
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