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「みかん。おいで」
凛が恐る恐る私を撫でる。
背中を撫で、頭を撫で顎を撫でる。
凛は小さい頃に犬に吠えられて大泣きしたことがある。
それ以来、生き物に近付くのは怖がっていた。
それでも、私を連れて帰ってくれた。
成長したな、と思う。
「ミャア」
(凛。お姉さんになったね)
猫の身なのに、既に感動で泣きそうだ。
ベッドに転がりスマホを弄る凛。
もうかれこれ1時間はずっとスマホばかり弄っている。
凛は高校2年生で、壁のカレンダーにはテストの日に書き込みがある。今はテスト前らしい。
そろそろ勉強し始めても良いのでは?
もう1時間以上経ったよね?
「ニャゴ」
(そろそろ勉強始めたら?)
「みかん〜ちょっと止まって」
私にスマホを向ける。
シャッター音が続く。
右からも左からも上からもカメラを向けてくる。
何?
そんなに私が可愛い?
それならしょうがない。沢山お撮りなさい。
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