猫の毛

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「あれ?久住さん」 私に声を掛けてきたのはうちのクラスの背の高いイケメン男子、佐野くん。 一目で鑑賞専用だな、と判断してあまり絡んだことがない。 「ん?佐野くん?」 私に声を掛けるとは珍しい。 「猫の毛。付いてるよ」 うちの高校の制服は男子は学ラン、女子は紺地のセーラー服で。猫の毛は結構目立つ。 「あー…取っても取っても追い付かなくて…」 「猫、飼ってんだ」 「うん。最近拾ったの」 「久住さん、猫派だったんだ」 ふわっと笑う彼。彼の笑った顔をちゃんと見るのは初めてかもしれない。 「犬派だったんだけどね。いざ一緒に暮らすとどうしても猫派になっちゃうんだよね」 「俺も。猫飼ってるんだ」 「佐野くんも飼ってるんだ。どんな子?」 佐野くんはスマホを弄ると、アメリカンショートヘアっぽい猫の画像を見せてくれた。
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