猫の声

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猫の声

その日、取引先から直帰していた。 夕方のニュースを流し見していたらドアが開く音がした。 凛が帰って来たようだ。 「おかえり」 我が一人娘の姿が視界に入る。 猫を腕に抱いているではないか。 考えるより先に段ボールと新聞紙でトイレを作っていた。 凛はポカンとした顔をしている。 私が猫に慣れている事を知らなかったのだろう。 今は亡き妻、緋月(ひづき)も猫が好きだった。 凛が生まれる前も猫を飼っていた。 緋月と出会ったきっかけも、猫だった。
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