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「そ、そ、そうだ!其処な女童子!先程、少将様のお言葉を伝えに参ったと言っておったな。どうゆうことだ!」
「あー!もう、其処な、髭モジャ!うるさいんですよぉ!お陰で、徳子様が、びっくりして、乳の出がわるくなったのです!子猫ちゃんが、ミャーミャー鳴いて、大変なんですからぁ!!どうしてくれるんですかっ!」
乳の出、子猫ミャーミャー。
野次馬含め、検非違使達も、何の事やらさっぱり分からず。
「おや?どうゆうことです?」
武蔵野も、首を傾けた。
武蔵野は、延々と、ここで、目の前の荒武者の相手をしていた為に、屋敷で起こっていた事を、詳しく知らない。
「えっとですね。居なくなった徳子様は、縁の下で、子猫ちゃんを産んでいたのです」
「えええーーー!」
と、検非違使、野次馬が同時に叫ぶ。
ことの発端は、猫に、守近徳子と主夫婦の名をつけ、その猫が居なくなったと、屋敷の者達が、大路にて、主夫婦、否、猫の名を呼びながら探していたことにある。
ちょうど巡邏していた、検非違使が、少将夫婦が失踪したと思いこみ、屋敷へ詰めかけた。
しかし、応対する武蔵野は、頑として、主は在宅と、失踪を認めない。訳のわからない言い争いになり、今の騒ぎに至っているのだ。
さて、野次馬ときたら、言葉通り、北の方が産気付き、縁の下で、子を産んだと思い込む。しかし、そこで、子猫とは、いったいどうゆうことだと、驚きを隠せない。
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