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答辞
「黙れ──この有象無象が。
こほん。
柔らかな春の日差しに恵まれたこの良き日、青春学園三年生、私とその他356名の為にこのような素晴らしい式を挙行して頂き、ありがとうございます。
また御多忙の中、ご出席くださいました御来賓の皆様。卒業生一同心から御礼申し上げます。
この青春学園の地を初めて踏んだのは三年前。
期待に胸を膨らませた私達を待ち受けていたのは模擬市街戦。
とにかく新鮮な驚きの連続でした。
歩兵小隊・分隊の基礎的戦術、及び展開。
何よりも大切なのは建物に対する攻撃の実施要領。
いきなりの実戦で戸惑いましたが、本気でぶつかり合う事の重要性を高校入学初日に痛感しました。
この伝統は痛みを持ってこれからも後学に脈々と受け継いで行ってくると信じております。
青春学園で過ごす日々は自分という存在を、友人を通じて語り合う中で形を結び、個性や多様性を知りました。
社会において自分がどう関わっていくか、どんな大人になりたいか、夢と自分もSDGsの一員とし「持続可能な開発のアジェンダ」を心に掲げ、国連ミレニアム宣言の重要性を強く感じました。
その中でもESG投資と呼ばれる考え方はとても素晴らしいと思う反面、企業利益リターンの思惑も見られ、私達個人がいかにサスティナブルに行動して行くことが大事だと思いました。
そんな思いと共にこれから私達は青春学園を卒業し、それぞれの道へ進みます。
私は既に国内でも有数の大企業。
我が紫城企業にて約束された重役のポジションが決まっておりますが建前上、大きな期待とともに不安もありますと言っておきます。
そんなときこそ青春学園で過ごした数々の思い出が私達を支えてくれるでしょう。
皆で飼育しきれなかったホオジロザメをプールに解き放ったこと。
生意気な二年生に文化祭をしかけて本当の事件に発展しそうになってドキドキしたこと。
その我修院霧矢がいつも私以外の女子と喋っていて、苛ついてつい真冬に命のやり取りをしていまったこと。
入学当初より気になっていたとか思っていません。
そんな二年生の生意気代表が私に跪いたら私設秘書として雇う事も視野に入れています。
私の寛容さに打ちひしがれるがいいと思います。
どれもこれも大事な思い出です。
そして最高裁判所長官は私の叔父です。
最高裁判所での決着を楽しみにして私は今日、この青春学園を旅立ちます。
本日、私の卒業式にご来場頂き誠にありがとうございました。
私の覇道はこれからが本番です。
私がこれからも素晴らしい歴史を刻むことをお祈りして、答辞とさせていただきます。
卒業生代表 紫城薫子」
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