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第56回 青春高等学校卒業式
おごそこかな空気の中。
生徒も教師も。
保護者も。
誰も彼も緊張した面持ちで。
しかしどこか誇らしさも感じつつ、明るい日差しの中卒業式が始まった。
そして教頭のマイクスピーチが始まった。
『今日と言う良い日を皆様と迎える事が出来て嬉しく思います。三年生の皆様、ご卒業おめでとうございます。
皆さんはこれから自分で自分の道を開拓していかなければなりません。
それは希望と不安に満ち溢れ、時には辛く、立ち止まる事もあるでしょう。
その時こそ『脚下照顧』
自分の足元を、後ろを見て下さい。
後ろには今まで歩んだ確かな道が出来ているはずです。
光は足元しか照らし出されてないかも知れませんが、それは自信が輝いている証拠。
闇の中の確かな道標です。
どうか自分を信じて、また新しい一歩を踏み出して下さい。どんなに苦しくても。
一歩。
その一歩が道になります。
それが夢を叶えるための近道です。
卒業しても私達は皆さんの夢を応援しています。
皆さんが作った道の後ろに私達はいつも立っています。
まだ見ぬ道の向こう側には理想の皆がいるはずです。
歩むことを恐れずに新たな一歩を踏み出す皆さんに改めて。
──卒業おめでとう』
教頭のスピーチで目頭を抑える教師や保護者が居た。
卒業生はもちろん、在校生もこれからの自分の描く未来に想いを馳せる。
そんな新たな人生のスタートを更に輝かしく彩るように、在校生が卒業生に送る言葉。
『送辞』
一人の凛とした男子生徒が立ち上がり、舞台に立った。
そしてよく通る声で送辞を読み始めた。
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