3人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
はい-はい-はい
東京に住み始めた時、荷物はボストンバックひとつであった。
アパートも下宿も決まってない。
コインロッカーにボストンバックを預けるため100円玉を入れようとしたが、入らない。そばの民家のおばあちゃんに方法を聞くが、都会の雑踏でよく聞き取れない。
「連れて行くよ」
「ねえ 連れてって」
君は、カバンの中 耳を傾ける
「ねえ 私に聞かせて」
君はカセットテープをダビングして持たせてくれたね
別れの歌じゃないのよ 幸せな旅立を
「はい はい はい…こうして入れるのよ」
おばあちゃんは優しく教えてくれた
都会でもやさしさと情は厚い ロッカーから何か聞こえる
バスのクラクションと郷愁のような甲高いストリングスが重なる
最初のコメントを投稿しよう!