①猫

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…グチャ ……グチ、グチャ… 「ん?」 帰路、長嶋くんは妙な音に気づく。 ハンバーグをこねる音? いや、魚を捌く音だろうか。 好奇心に煽られ、音のなる路地裏へフラフラと誘われる。 「えい!んん!」 そこに居たのは小学4年生、同じクラスの田淵くん。 声を出しながら何かを必死に引っ張っていた。 彼の手元から赤い物体が見え隠れする。 「田淵くんじゃないか。何してるんだい?」 「あ!やぁ長嶋くん!今ね」 長嶋くんに気づいた田淵くんは、手に持っていた汁の滴る赤い塊を得意げに見せつけた。 「じゃじゃーん!猫!ちぎってたの!」 彼が持っていたのは猫… にはとても見えない大きな肉の塊。 ポトポトと血が滴り落ち、裏側には毛のようなものが少し付いている。
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