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「動物に優しくするってことはね、簡単に言うと、殺しちゃダメだよってことなんだ。」
田淵くん、大きな衝撃を受ける。
自分はなんて取り返しのつかないことをしてしまったんだ!
そう思うや否や、彼は山になった肉片を乱暴に掴み取り、グチャグチャとくっつけ始めた。
「長嶋くん、これ、どうやったら直るの。」
目尻に涙を浮かべながら田淵くんは必死に考えた。
考えたけど、もう手遅れだと心のどこかではわかっていたのかもしれない。
決壊した涙腺から大粒の涙がボロボロと零れ、アスファルトに静かに吸い込まれていく。
「怒られるよぅ、先生におこられちゃうよぉ。」
絶体絶命の田淵くんの肩に、長嶋くんは優しく手を添えた。
「大丈夫、僕がなんとかするよ。」
「ほんと?」
希望の光が差し込んだ田淵くんの目には、輝きが戻っていた。
長嶋くんはおもむろに携帯電話を取りだし、誰かに電話をかけ始める。
「もしもし、シゲアキさん。すぐに来れる?場所は──」
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