44人が本棚に入れています
本棚に追加
新人のあなたから
諦めてきた人生だった。
小・中・高と、地元にある公立の学校に通った。ゲーム好きだった俺は、クリエイターになりたかった。想像を絶するファンタジーを空想し、それをゲームの世界で創ってみたかった。
それを親に話した時、現実を見るよう諭された。俺は自分の夢を諦め、コンピューター関係の専門学校に進んだ。卒業後、各企業の様々なシステムを構築するプログラマーとして社会へ出た。
ゲームオタクだったので、プログラミングの世界には割とすんなり溶け込めた。人から感謝されることもあり、仕事自体はけっこう楽しめていた。
流されてきた。今まで。
なるようになった。運で。
夢を諦め、恋愛も諦めた。
付き合いそうになった女性はいた。ただ、俺よりも魅力的な男性が近くにいることを知ると、身を引いてきた。人を幸せにする自信がなかった。
その女性も案外すんなりと俺を諦め、違う男性と付き合った。
それでいいと思った。傷心したのは事実だが、時間の経過とともに、いつしか忘れる術を覚えていた。
35を過ぎて、もう1つ。
俺は結婚を諦めた。
最初のコメントを投稿しよう!