新人のあなたから

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新人のあなたから

 諦めてきた人生だった。  小・中・高と、地元にある公立の学校に通った。ゲーム好きだった俺は、クリエイターになりたかった。想像を絶するファンタジーを空想し、それをゲームの世界で創ってみたかった。  それを親に話した時、現実を見るよう諭された。俺は自分の夢を諦め、コンピューター関係の専門学校に進んだ。卒業後、各企業の様々なシステムを構築するプログラマーとして社会へ出た。  ゲームオタクだったので、プログラミングの世界には割とすんなり溶け込めた。人から感謝されることもあり、仕事自体はけっこう楽しめていた。  流されてきた。今まで。  なるようになった。運で。  夢を諦め、恋愛も諦めた。  付き合いそうになった女性はいた。ただ、俺よりも魅力的な男性が近くにいることを知ると、身を引いてきた。人を幸せにする自信がなかった。  その女性も案外すんなりと俺を諦め、違う男性と付き合った。  それでいいと思った。傷心したのは事実だが、時間の経過とともに、いつしか忘れる術を覚えていた。  35を過ぎて、もう1つ。  俺は結婚を諦めた。
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