神さま様

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 じゃぶじゃぶして落ち着いてから戻ると、神さま様は今度はなにやら一心不乱にカリカリポリポリと音をたてていた。 「愚かなる迷い子よ。これは良いな。これはワレに大変好もしい」  見ると、カネの種をかじっている。  カネの種は小指の先ほどの長さの、三日月型でつるりとしたアラレみたいなお菓子だ。ちょっぴり辛くてツマミにいいから常備している。俺なら鷲掴みにして口に放れるけれど、神さま様にとってはバナナくらいのサイズ感。  一個一個、大切そうにカリカリポリポリ食べている。  うん、確かに形もバナナだなー、なんて思いつつ口もとを眺めていたら、俺の幸福レベルが1上がった。 「カロリーだったら、一緒にあったピーナッツのほうがとれますけれど」 「あれも固めでよいが、こちらの歯ごたえにはかなわぬ。ほのかな刺激も心地よい」  あ、そっか。辛味って、味っていうより刺激なんだって聞いたことがある。刺激はわかるんだな。   
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