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石畳もアダルウォルフを待っていた。
乱れていた音が徐々に一定のリズムを保ち始める。
アダルウォルフは一歩一歩前進した。
廻廊の左右にある扉が王の靴音を合図に次々と開いた。
騎士達の軍靴が勇ましく石畳を叩く。
ヒールの音が彼等の覇気を借りて進むごとに力強くなっていく。
「王の行く手を何人たりとも塞ぐまじ!!全ての者は王の前に平伏すべし!! 」
唱和する騎士達の頬は喜びの涙で濡れていた。
アダルウォルフの時が漸く動き始めた。
大広間の扉が重厚な音を立てて開かれる。
将軍達はテーブルの周囲に直立不動で勢揃いしていた。
アダルウォルフの突然の行動にも彼等は疑問を投げ掛けたりはしない。
黒革の鞭がテーブルに振り下ろされた。
「不要だ! 」
将軍達が着座しようとするのをアダルウォルフの鋭い声が制した。
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