染みる

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「これからベルクフォルムの森に向かう」  将軍達を睨め付けてから低く指示を発する。  斜め下に振られた鞭が空を鳴らした。 「Ja!!」  異論も疑問も無い。  彼等は王の復活を渇望していた。  一糸乱れぬ愛という名の服従。  黒革の鞭の音に痺れ、居並ぶ将軍達の頬は薔薇色に染まっていた。  震える唇を噛み締め、込み上げる興奮を堪える。    アダルウォルフは外に出た。  彼を迎える風で髪が靡き、シルクのブラウスが膨らむ。  肌で感じる春。  二度と訪れないと思っていた春が目の前に広がっていた。 「馬を! 」  本来なら既に馬が用意されている筈なのに、アダルウォルフの命に対して現れたのは四頭立ての馬車だった。  外観は黒を基調とした革張りで重厚感があった。  扉には神話を描いた絵画と国章の三鈷が嵌め込まれ、四つの車輪は輪軸も含めて全て黄金で塗装されている。  屋根の上で微笑む三体の智天使(ケラフィム)も、馬車の四隅の柱のアフロディーテも彫金で、御者席は深紅のベルベット張りだ。    
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