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ティオポルドが満足──いや、アダルウォルフは満足すると鞭を収めた。
ぐったりと突っ伏し啜り泣くティオポルドの背を軽くヒールで踏みつける。
膝ま付くハインリヒとジークフリートの鼻先にミュールを突き付けると、彼等は恭しく推し頂き爪先に接吻した。
歯をギリリと鳴らして、ティオポルドがゆらりと立ち上がる。
顔に掛かる縺れたブロンドヘアの隙間から覗く瞳は、妬みの炎で燃えていた。
これで男達の欲望は昇華し、以前の活力を取り戻した。
王は復活を遂げたのだ。
「もういい!馬車に乗る! 」
扉を開く騎士の肩に手を掛け馬車に乗り込む。
内装は深紅のベルベットとピンクのサテン張りだ。
馬車の振動に合わせて揺れながら、窓の外に視線を投げた。
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