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間違えようのない味と感触。
スノードロップの芳香の源。
目にした姿は記憶にある色相とは違っていた。
鳶色の髪に指を潜り込ませ、細い身体を抱き締める。
「ルーエ……どうして……どうして」
触れ合う唇の隙間から溢れる喜び。
答えはいらないのに問わずにはいられない。
唇が離れて頬に両手が添えられる。
自分を真っ直ぐ見詰める瞳は、髪の色と同じく鳶色をしていた。
「アダルのお陰だ」
「夢じゃないのか?どうして?俺のせいで──だって俺のせいで溶けてしまったとばかり──」
嬉しくて切なくて幸せ過ぎて苦しい。
失った愛すべき者が突然目の前に戻ってきたら。
生き返った相手の代わりに自分の心臓が止まってしまいそうだ。
「アダルのお陰だよ。アダルのせいでもあるけど」
首を傾げてルーエが笑う。
肌は白い儘に、頬は生き生きと自然な薔薇色に。
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