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この儘では、ロイトブルクは雪と氷に支配されてしまう。
看過出来ない重大事に赤髪を掻き毟る。
炎を身に纏う騎士達が広範囲に渡り、雪を溶かそうと試みた。
しかし、その後から益々降雪は激しさを増し、時に吹雪いて怨みを返して寄越した。
俄にアダルウォルフはクリスタルのグラスの底で大理石のテーブルを打つと立ち上がった。
獅子の頭付き毛皮の敷物を、膝上まで覆うエナメルブーツのヒールが踏みにじる。
尖頭アーチに嵌め込まれた樫製扉を内側に引くと、ギイッと重厚な軋み音が鳴った。
麦を束ねたような交差リブで支持するヴォールト(石造天井)には石の花が咲き乱れ、左右は高い尖頭アーチに騎士達の詰所と居室、石畳、それを照らす蝋燭の灯火が先へ先へと続いている。
ウエスト部分を三つの細いベルトで締め上げたベルベットのコートを翻し、赤髪を靡かせるアダルウォルフのヒールがカツカツと音を奏でる。
王の居室前に立っていた騎士達が慌てて後を追う。
廻廊の左右にある扉が王の足音を合図に次々と開く度、後に従う者の数が増えていく。
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