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皆が極寒に対して体質に変化をきたし、体熱を炎に変換出来るようになっていた。
どうやら能力には男性の場合は個体差があり、頑強で情熱的な者ほど熱量が多い傾向にあった。
それに対して女性の能力は平均化していて、放出よりも蓄積、体温低下を防ぐ調節力が優れているという点で性別による相違が見られた。
この国で誰よりも強く情熱的な男、アダルウォルフが無言で一際豪奢な王の椅子の前まで進む。
その美貌は神の如く、微笑みも怒りも将軍達を十歩後退させるほどの魅力に溢れている。
鋭い眼光で、居並ぶブロンドヘアの美形達を睨め付ける。
アダルウォルフは腰に差した愛用の鞭を手にすると、一旦撓らせてからピシリとテーブルに打ち付けた。
着席の合図である。
美麗過ぎるが故にアダルウォルフは酷薄な印象を与えるが、飽くまでも革製の鞭は統治者としての威厳を保つ為の小道具に過ぎない。
因みに右目を覆う黒レースの眼帯も、彼の美貌を軽減する目的があり、決して隻眼な訳ではない。
将軍から末端の騎士に至るまで彼に心酔仕切っている。
その背や尻に鞭を振り下ろされたとしても、恍惚と涙を流し感激で悶える程に──
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