4人が本棚に入れています
本棚に追加
雪だるまは重かった。必死で頑張ったけど、とても持ち上がらへん。
「食い過ぎや、こいつ」
わいは持ち上げるのを諦めた。
「これ、転がしていこ」ゆたやんが、そう提案する。
「ほな、まず、この頭部分おろそか」
3人がかりで頭部分をゆっくりおろす。
「よし!」
「じゃ、転がしていくで」
わいが、頭部分の雪玉を転がす。
みかんと、ゆたやんは胴体部分の雪玉や。
ゴロン! ……ゴロン!
あー、なかなかすんなり回転してくれへんなー。ちょっと形が丸やなくて変やねん、この雪玉。たぶん。
それでも、ちょっとずつ回転させて前へと進んでいった。
その時、
「ああーーー」って後ろから、ゆたやんとみかんの声があがった。
「どないした!」
って振り返った時、ワイの雪玉も ちょっと勢いをつけてゴロンと転がり、パカっと割れた。
「あああああーーーーーー」
目の前に、割れて歪に分裂した雪玉が4つ。
みかんが慌てて雪玉の破片をもう一度くっつけてみたけど、元のようには戻ってくれへんかった。ちょっと、動かすとまた割れる。わいらはしばらく呆然と眺めていた。
「じゃ、こうしよう」
ゆたやんが、割れた破片に雪をくっつけてそれをゴロゴロ転がす。新しい雪玉や。だけど、やっぱり丸とはほど遠いからか、また変な風に転がりパカっと割れた。
「あああああああーーーーーーーーーー」
「なんでー。なんなん」みかんが呟く。
「雪だるま大作戦。……しっぱいや」ゆたやんも呟く。
「……」
空はまたどんよりと曇り、風がビューって吹いてきた。ところどころ雪が剥げ赤茶色の土が見えるグランド。割れた雪玉の白い欠片が転がり、ハァーというため息と共に白い塊が口から立ち昇る。
……寒
……でも ……でも、でも、でも、でも
「まだや!」
大きく深呼吸をする。
「まだ、終わりやないでー!!」
わいは、壊れた雪玉の破片を一つ持ち上げる。ちょっと重かったけど、破片は抱えると持ち上げる事が出来た。
「これは、きっと、こうやって持って行けって言うことや!」
「え、そうなん?」
ゆたやんも雪玉の破片を持ち上げる。
「そやろ?」
一歩、二歩と進みながら問いかける。
「誰に聞いとん?」
みかんも雪玉の破片を持ち上げて聞いて来た。
「……知らん」
「……」
そんなこんなで、割れたとはいえ重い雪玉を抱えて、かっちゃんの家へと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!