あー、あの日の わいの冒険 1年生 その14 「【雪の日:前編】どろんこ雪だるま」

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 雪だるまは重かった。必死で頑張ったけど、とても持ち上がらへん。 「食い過ぎや、こいつ」  わいは持ち上げるのを諦めた。 「これ、転がしていこ」ゆたやんが、そう提案する。 「ほな、まず、この頭部分おろそか」  3人がかりで頭部分をゆっくりおろす。 「よし!」 「じゃ、転がしていくで」  わいが、頭部分の雪玉を転がす。  みかんと、ゆたやんは胴体部分の雪玉や。  ゴロン! ……ゴロン!  あー、なかなかすんなり回転してくれへんなー。ちょっと形が丸やなくて変やねん、この雪玉。たぶん。  それでも、ちょっとずつ回転させて前へと進んでいった。  その時、 「ああーーー」って後ろから、ゆたやんとみかんの声があがった。 「どないした!」  って振り返った時、ワイの雪玉も ちょっと勢いをつけてゴロンと転がり、パカっと割れた。 「あああああーーーーーー」  目の前に、割れて歪に分裂した雪玉が4つ。  みかんが慌てて雪玉の破片をもう一度くっつけてみたけど、元のようには戻ってくれへんかった。ちょっと、動かすとまた割れる。わいらはしばらく呆然と眺めていた。 「じゃ、こうしよう」  ゆたやんが、割れた破片に雪をくっつけてそれをゴロゴロ転がす。新しい雪玉や。だけど、やっぱり丸とはほど遠いからか、また変な風に転がりパカっと割れた。 「あああああああーーーーーーーーーー」 「なんでー。なんなん」みかんが呟く。 「雪だるま大作戦。……しっぱいや」ゆたやんも呟く。 「……」  空はまたどんよりと曇り、風がビューって吹いてきた。ところどころ雪が剥げ赤茶色の土が見えるグランド。割れた雪玉の白い欠片が転がり、ハァーというため息と共に白い塊が口から立ち昇る。 ……寒  ……でも ……でも、でも、でも、でも 「まだや!」  大きく深呼吸をする。 「まだ、終わりやないでー!!」  わいは、壊れた雪玉の破片を一つ持ち上げる。ちょっと重かったけど、破片は抱えると持ち上げる事が出来た。 「これは、きっと、こうやって持って行けって言うことや!」 「え、そうなん?」  ゆたやんも雪玉の破片を持ち上げる。 「そやろ?」  一歩、二歩と進みながら問いかける。 「誰に聞いとん?」  みかんも雪玉の破片を持ち上げて聞いて来た。 「……知らん」 「……」  そんなこんなで、割れたとはいえ重い雪玉を抱えて、かっちゃんの家へと向かった。
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