あー、あの日の わいの冒険 1年生 その14 「【雪の日:前編】どろんこ雪だるま」

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 こうして、3人で雪だるまを作る事に。ちなみに、みかんの父ちゃんは写真をパシャパシャ撮ったりしていた。  小さな雪玉を転がして大きくしていく、ゆたやんと一緒に大きく大きくしていく。  あー、手が冷た。わいは、防水の手袋じゃなくて、普通の毛糸の手袋やったから、すぐビチョビチョになって手が冷えて来た。冷たいと言うより痛い。だから、たまに息で手を温めたりしながら作っていった。  そうやって何とか形になって来たんやけど、ここからの雪だるまづくりは意外と難しかった。ある程度大きくなると破片がポロッと取れたりしてなかなか綺麗な丸になってくれへんねん。やっぱり雪国の雪となんか違うんかな?(大人になった今でも雪だるまの上手な作り方、よく分からへんわ……)  まあ、でも、何とかかんとか、みかんの作ってた胴体部分に載せれるぐらいの大きさにはなった。  ……ふぅー  おっちゃんに手伝ってもらって、雪だるまの頭部分を動体に載せる。目に石ころ、口に木の枝、最後にゆたやんの持って来たバケツを頭に乗せてっと。  ……雪だるま、完成や。  雲の隙間から日が少し差し込み、雪だるまに当たるとピカピカと光っていた。おっちゃんが「写真とろ写真」と言って、雪だるまの前にワイらを集める。「はい、ニコッと」と言って写真を撮るおっちゃんが、一番ニコニコしとった。  みかんが、わい と ゆたやん に耳打ちする。 「ねえ、次の瞬間。パパに雪玉投げよう」  こうして、次の写真は雪玉を構えた写真を撮ってもらう。そして、シャッターと同時に投げた。 「ウオッ」と言いながら、おっちゃんは綺麗に避けてポーズを決めた。  さすが、アスリート!! 「もっと、もっと」みかんが雪玉を大量生産し始める。 「よーし」  わいと ゆたやんもやる気になって冷たい手で一生懸命雪玉を作る。こうして雪合戦が始る事となった。 「パパは使っていいの左手だけね」 「なに!」ビックリしながらも律儀に左手だけを使って雪玉を作るみかんの父ちゃん。 「……鬼やな。みかん」  呟きながらワイもせっせせっせと雪玉を作っていく。すると真横にピュッと雪玉が飛んできた。はや!! これは左手だけにしてもらって正解や。  わいらは、次々に雪玉を投げたが、みかんの父ちゃんは見事にかわしていく。そのうちに雪が無くなって、泥んこの雪玉になってきた。さらに、みかんが突撃していく。そしてとうとう、雪で早く走られへん、みかんの父ちゃんに泥玉が当たった。 「ウゲッ! これどろんこや」  気の緩んだ、みかんの父ちゃんに、バス、バスと連続で泥玉が当たった。 「ハハ……」  みかんの父ちゃんは、ドロドロになったベンチコートを見て、引きつりながら笑ってた。 「これはまずい。非常にまずいぞ。ママに怒られるわ。ハハ……」  そう言いながら、一息ついたところで、半笑いのまま家に帰って行った。  わいは手についた雪と泥をパンパンと振り払いながら、夏の事を思い出した。  夏休みラジオ体操後に、おっちゃんと鬼ごっこをやったんや。その時、こちら側にもう一人、かっちゃんこと梶本明弘君がいて、わいらの頭脳として色んな作戦を立ててくれたんや。むっちゃ賢いし、わいらの知らん事よう知ってんねん。  でも、かっちゃんは持病の糖尿病が悪化して入院。そのまま学校にも来れへんようになってしまった。あれから、もう冬になってもうたけど、どないしてるんかな? まだ、入院してるんやろか? もう、戻っては来てるんやろか? 「かっちゃんどうしてるやろ?」ゆたやんが呟いた。 「行ってみいへん?」みかんが聞いて来る。  二人を見て、ハハハと笑えて来た。 「行こうぜ!!」と わいは力強く二人の肩を叩いた。
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