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かっちゃんが玄関先まで送ってくれる。庭の端には4つ並んだ雪だるまが、今日の自分たちのように並んでいた。
「ごめんね」とかっちゃんが呟いた。
「え? なにが?」
「うん」
「? なに? ……へんなの」
「うん」とかっちゃんが微妙な笑いを見せる。
「じゃ、帰るわ」
「うん。じゃあね」
「じゃ、またなー」
わいらは、そういうとかっちゃんの家を後にした。
試作品の車に興奮冷めやらぬわいは、「どうやって同じようなもん作ろ」という事で頭の中がいっぱいやった。あんなん自分で作れるんや。そんなん考えたこともなかったし、夢にも思わんかった。ドキドキすんなー。それに早よ かっちゃんの完成品見てみたいわー。
わいは後ろで見送ってくれていた かっちゃんに大きく手を振って、雪の中をガシガシと駆け出した。ゆたやん と みかんを置いて来る勢いで駆け出した。
なんか周りの雪が、景色が、とにかく輝いて見えた。言葉ではうまく言い表わされへんけど、自分で作れるんや。自分でやったらええんや。先の先の先の先の先の先が、その先があって、なんか、その先がどこまでも広がっていって、そこに繋がっている。
そんな感じがしたんや。
わいにもできるかな?
こーやって見たい、あーやって見たいっていう、思いばっかりが膨らんで行った。
雪の日【後編】「またね」に続く
https://estar.jp/novels/25936213
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