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名前というのはめんどくさいもので、それが個体を識別するためのものであるにもかかわらず、逆に無関係なものどうしを結びつけることがある。
何が言いたいかというと、カラオケに行けば必ずと言っていいほど、吾輩が「中島美嘉」の曲を歌うことを期待されるのだ。
吾輩は「中島美嘉」の曲にこれっぽっちも関心が無いのに。
吾輩は、猫に生まれて人の世に住むこと16年、人間でいえば16歳になる。
このごろの猫というものは多感な年ごろで、他者と同一視されるのを嫌うものなのだ。
十人十色という言葉は猫にも当てはまって、目つきも鼻つきも毛並みも足並みも、他者と同じものは一つもない。
それなのに名前が似ているというだけで、その相手のイメージを押し付けられてはたまったもんじゃない。
そういうわけであるから、吾輩は徐にマイクを握り、口を大きく開け、「中島美嘉」とは微塵も関係のない、吾輩の持ち歌、「おジャ魔女ドレミ」のオープニングテーマソングを熱唱してやるのである。
オーディエンスの女子高生たちは何が起こったか分からず、3秒ほど唖然とし、続いてカラオケボックス内に大きな笑いが巻き起こる。
この瞬間が最高に気持ちいいのである
♪大きな声でピリカピリララ♪
それにしても、ナカジマミカなんてありがちな名前、誰かと被るに決まっている。
有名シンガーになるなら「きゃりーぱみゅぱみゅ」くらい被らない名前にしてほしいものである。
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