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切符を受け取った私たちは、待合室の木製の長いすに腰掛けた。くたびれた座布団が敷いてあったので、おしりは冷たくなかった。
次の列車は一三時一七分の洞爺行きだった。汽車が来るまで一時間ほどあった。
椅子に腰掛けてなんとなく黙っていると、「なあ」と彼が言った。
「俺、内地へ出稼ぎに行って、金を稼いで帰ってくるからさ。そのときは俺と一緒になってくれないか。それで、一緒に暮らさないか」
しばらくの沈黙のあとの、彼の口から出た言葉に私は驚いた。
確かに、私もそうなったらいいな、ってなんとなく思っていた。でもまさか、今ここで、そんなことを言われるとは思わなかった。
(続く)
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