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「ねえ、それって……」
私は恥ずかしくってうつむいた。彼の方を見ることができなかった。待合室の床はコンクリート打ちだった。
すると彼は「な、いいだろ」と私の顔を覗き込んできた。
私は驚いて「そんなのすぐには答えられないよ」と言おうとしたが、上手く言えなかった。
逆に彼が言った。
「予約な。お前のこと、予約だからな。答えはあとでいいから。忘れるなよ」
そうして笑顔を見せてくれた。嬉しかった。私、この人と一緒になりたい。このとき私はそう思った。
(続く)
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