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「待っていてくれよ。稼いで戻ってくるから、そのときまで」
その言葉に、私は小さく頷いた。
そして彼は改札へ向かい、駅員さんにきっぷを差し出しハサミを入れてもらって、向かいのホームへ急いでいった。
「国英、元気でやるんだぞ!」
改札の内側で、彼の父が彼の背中に大声を張り上げた。
そしてホームに赤とクリーム色の帯の汽車がやってきて停車した。
彼の家族たちは、駅舎のあるホームのところへ出て、一斉に万歳を三唱していた。私はそのホームの端で、じっと彼の方を見ていた。彼は車内の中程の席に座れたようだった。
(続く)
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