0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
猫島
南の海にぽっかりと
猫の島があるという
南の島の猫たちは
人の言葉を語るという
ある晩漁師の少年は
舟に果物詰め込んで
月夜の海に漕ぎ出した
凪いだ海に漕ぎ出した
月夜にアボカド噛みながら
風に任せて進みます
陸の灯りは遠ざかり
酒場の声も遠ざかり
聞こえてくるのは波の音
家では5つの妹が
夢で笑っているでしょう
月夜にレモンをかじりつつ
ゆらりゆらりと揺られます
星の降るよな海原で
シャチのいななき聞きながら
静かに眠りに落ちるのです
夢の中で少年は
猫に秘密を聞きました
この世の秘密を聞きました
いく夜涙を流すでしょう
舟の果物底をつき
月夜に母の子守唄
消えゆく意識で聞きました
少年が目覚めることない眠りへと
静かに瞳を閉じた朝
舟は小島に着きました
白浜続く猫の島
猫は少年包み込み
丘の上に埋めました
朝焼け雲の切れ間から
一筋光が舞い降りて
猫は少し目を細め
一声小さくなきました
浜辺の舟には芽が生えて
果実の森となりました
毎夜猫たち集まって
月夜の下で丸くなり
遠くの潮騒聞くのです
星の降るよな砂浜の
静かな静かな物語
最初のコメントを投稿しよう!