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うちのナナコは、良くなく。
男に振られたといっては、なき
仕事で怒られたといったり、ドラマを見て悲しくなった、オリンピックで人の頑張りを見て感動したと言ってもなく。
最初のときこそ、泣かれるとオロオロしたが、いつもないているので、俺はもうナナコがなくことに慣れてきた。
すり寄って甘えた声でなく。
腹がすいたといってなく。
遊んでほしい、かまってほしいとなく。
さわってほしくない時は、怒ってなく。
ドアが開いてご主人が帰ってきても、しらんぷり。
「ただいま~、さみしかった?」
丸まって寝ていた俺を無理に抱き上げる。
手は?洗ったのか?
まず、洗ってから来いよ。
いつものようにアクビをひとつしてみせると、ナナコは俺に顔を寄せた。
「きゃーあ、あんたは、今日もかわいいっ」
「…ニャッ」
そう、俺は1年近くナナコと暮らしているが、いまだに『あんた』と呼ばれていて
名前は、まだ……ない。
fin
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