リボン

7/17
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「ママ、お姉ちゃんは化粧なんてしなくても綺麗だしいいんだよ。こんな天然美人なら私だって化粧なんてしないよ」 私は手鏡で寝る前のアイプチをしながらため息混じりで言い返した。 「それよりお姉ちゃん進学どうするの?お姉ちゃんの成績なら東京の有名大学狙うんでしょ?」 「ダメよ」 ママの言葉が私の会話を切り落とすように遮る。 「お姉ちゃんはこの家から通える大学に行くの」 「え?この家から通える大学なんて少ないし、お姉ちゃん程の成績なら余裕で上位の大学狙えるじゃん、勿体無いよ」 「お勉強は何処でもできるでしょ?女の子なんだから東京で一人暮らしなんて危ないじゃない」 ママは当たり前の様な顔をしてお気に入りのリボン柄のカップに入っていた紅茶を飲み干すとニッコリ笑った。 「え?お姉ちゃんはそれでいいの?」 お姉ちゃんは力ない笑顔で頷き、リビングを出て行った。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!