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お姉ちゃんは余裕で地元の大学に合格し、高校を卒業した。
卒業式の夜、携帯が鳴った着信は隣の部屋にいるお姉ちゃんからだった。
「もしもし?どうしたの?」
部屋に来ればいいのに、わざわざ電話をしきたのか意味が分からず私は少し戸惑っていた。
「あーちゃん、ごめん…。私…今日の夜家を出る…」
「え?」
「今まで言えなかったけど私…体と心の性別が違うんだ…本当は男なんだよ。女になろうと頑張ったけど、もう無理…」
「え?ちょっとまって?どう言う事」
「気持ち悪いよね…?嫌な思いばかりさせて最後までいいお姉ちゃんになれなくてごめん…。ママもあーちゃんに任せる事になっちゃう」
「いつから?いつからそんな風に思っていたの?全然気づかなかったんだけど…」
「多分産まれてからずっとだと思う。小さい頃から戦隊者のテレビも好きだったしスカートを履くのも嫌だった。ママに何度もズボンを履きたいって言ったんだけど許してくれなくて…。小6で生理になった時にショックで泣きながら自分は男になりたいってママに言ったんだけど、『そんな気持ち悪い事二度と言わないで!』って怒鳴られて沢山叩かれた…それからこの気持ちを押し殺すのに必死だったから…」
「そんな…何で?何で私に言ってくれなかったの?」
「だって…あーちゃん、私の事嫌いだったでしょ?」
言い返せなかった。無言になった私の耳にお姉ちゃんの小さなため息が聞こえた。
「今までありがとう、本当にごめんね」
そして電話は切れた。
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