リボン

ママは乙女な物が好きだ。だからママはいつもフリフリのワンピースを着ていて、長い髪の毛にはリボンや可愛いバレッタをしていた。我が家のインテリアも花柄やレース、リボンなどで飾られていて、それはリビングだけではなく、トイレやお風呂、私達の部屋迄全て統一されていた。

私には2つ上のお姉ちゃんがいる。
お姉ちゃんは美人で成績優秀、正にママの美貌とパパの頭脳と両親のいい所を全部持っていて、その後に産まれた私はその残りで作られたみたいに見た目も頭脳も残念な程お姉ちゃんとは違っていた。

小さい頃は姉妹でお揃いの母の好みの服装をさせられていたが、小学校高学年頃になると徐々にママの好みと合わなくなっていって私の服装はスポーティな物を着るようになっていた。
でも、2つ上のお姉ちゃんはずっとママの買ってきた物を文句も言わず着ていた。
お人形さんみたいに可愛いお姉ちゃんにはそのフリフリな乙女な服装も自然と着こなせていたし、ママは自分の買ってきた洋服を着ているお姉ちゃんを見ては「可愛い可愛い」と嬉しそうに手を叩いて喜んでいた。
ただお姉ちゃんは全く嬉しそうではなく、まるでママの着せ替え人形みたいだった。
でも心の何処かで可愛いんだからママのおもちゃにされたっていいよねって、不細工でバカで産まれた私の苦労に比べれば大した事じゃないって思っていた。