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「あっ!そうだ爺ちゃん!父さんから電話なかった?」
「あったよ~!」
なんだ?その含み笑いは……嫌な予感。
「でな『お前はオレオレ詐欺だな?ワシには息子はおらん!』て切ってやった」
「はぁ~?」
またもや昨日の話だ。でも母さんの事を言わなかっただけでもよしとするしかない。
その爺ちゃんは何かいそいそと支度をしている。
「賢人、病院から帰って来て疲れたろ?あそこのコーヒーショップに行ってコーヒー買って来たるからまってろや。あそこには可愛い子おるでよ」
またチャリドライブスルーかよ!ってかそこって俺の彼女がバイトしてんだけど!
「いいよ爺ちゃん。喉乾いてない!」
俺が言ってるのも聞かず出て行ってしまった。
俺は心配になり2階に上がって自分の部屋の窓から爺ちゃんを見た、相変わらずの誰にも真似出来ない自転車の揺さぶりで、恐くて追い越せない車が爺ちゃんの後ろに連なっている。
それを見て、余計な事をしないかの心配よりも、爺ちゃんの背中が愛おしく見えてふと笑ってしまった。
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