おじいちゃん2

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俺は家に着き母さんに聞いた。 「ねぇ、爺ちゃんて毎日日記つけてんの?」 「うん、見る?」 「えっ!見ていいの?」 「だってこれだもん」 母さんが開いて見せてくれたのは、達筆で味のある字なのか、手の震えなのかわからない文字で数字が羅列してあり、母さんが説明をしてくれた。 「上が血圧、下が万歩計」 「はぁ?」 俺は数字を遡って見てある事に気付いた。 「ねぇ母さん、爺ちゃん段々歩く歩数増えてて凄いじゃん」 「何言ってんの、距離は変わらないわよ、歩幅が狭くなったから!」 確かに一歩は一歩だ……その時。 「ただいまぁ」 爺ちゃんが帰って来た。俺は慌てて日記を閉じた。 「美佐子さん、わしゃ本屋行ってくる。いつもの勉強は帰ってからでええかの?」 「いいけど、昨日も何か買ってきたじゃない」 「あぁ、さっき皆で話していてなちょっとな」 あれからどんな話しをしていたんだろうかと思いながら、俺は出て行こうとしている爺ちゃんに言った。 「爺ちゃん、本なら俺がアマゾンで買うよ?」 「いやいや、そんな遠くの本屋まで行かんでも、直ぐそこの本屋でええ」 いやいや爺ちゃんアマゾンてそれじゃなくて……。 母さんを見ると台所で爆笑している。 暫くして爺ちゃんが帰って来た。 昨日買った本と2冊テーブルに重ねて置いてある。 「ボケ防止対策」その下の本は? 「ボケ防止対策」いやいや、もうボケてるやん!
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