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「お待ちしてました。どうぞこちらへ」
玄関前に立つと自動で扉が開いた。監視されていたらしい。
〝機械に守られた、世間知らずのお嬢さま〟
島に住む女性への評価だ。
女性の父親は、人工知能研究に格段の進歩をもたらした。
彼がいたから、私達は日常の面倒から解放されている。
家事はロボットが担うので、女性達は、その時間を労働へと振り向けるようになった。そうなると必然的に、能力でのみ評価される時代へと変貌することになる。
人の生活を革命的に変えた彼は複数の特許を保有し、一人娘に引き継がれた。
彼女は、何もしないで莫大な財産を得ている。
それだけなら、どうということのない話だ。私がこの島に来たのは、まことしやかに流れる、彼女にまつわる噂の真偽を確かめるためだ。
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