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 「機械……人の手で作られた存在が自立するという意味が分かってますか?」  答えられなかった。私は、それに答えるだけの知識がない。返事がないと気づいたらしい彼女が続けてきた。  「人の能力を超えたと、少し前の時代にずいぶん言われましたけど、(おっしゃ)る研究に対しては、それほど意味を持ちませんでしたね」  「意味がない?  そんなことはないでしょう」  確かに過去、人とAI(人工知能)を対戦させることが流行した。人は(かな)わなくなって、いつの間にか誰も行わなくなった。  AIの能力が人を超えたのは間違いないからだ。  「人の補助となるものでしたら……例えば電卓もそうですね。誰でも簡単に計算ができる。  その頃から既に、機械は人の能力を超え始めたんです。能力という部分だけですけど」  強調した部分が耳に刺さった。
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