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「……アラームしないと……お前部活何時?」
意識を飛ばしていた奏さんの躯をタオルで拭っている間に目を覚ましたらしく、寝起きのぽやぽやした声。だけど、何より先に俺の部活を気にしてくれるのが、この人らしい。俺が恋人だからではなく、誰に対してもそういうところがある。そんなところがとても好きなのだが、俺だけに優しくして欲しいと子供のようなことを思ってしまう。
「9時に学校の道場に集合です」
「んー、じゃ着替えもあるから8時半には学校だよなー、一旦家に帰るとなると、6時半にはここでなきゃな」
「そんなに早く奏さんと離れるのいやです」
「なんだよ、それ。朝マックしてから帰るなら早めに出た方がいいじゃん。 お泊まりの翌日に朝マック行くの好きだろ。修吾」
話しながら脚の間を拭こうとしたら「そこは自分でやる」とタオルをさっと奏さんに奪われた。マックなんて別に好きじゃない。楽しそうに見えたならそれは奏さんと一緒に迎えた朝だったからだろう。
「チェックアウトまでゆっくりして、デートしたいです……それから……ん……」
言葉の途中で、俺の唇にぴたりと奏さんの人差し指が充てられた。
「ストップ。それでもちゃんと練習行くのがお前だって分かってるけど、俺だって我慢してるからそんなこと言われたらグラつく……」
あぁ、ほんとにこの人がたまらなく好きだ……
「はい。すいませんでした」
俺が謝ると、綺麗な顔をくしゃっとさせて、イイコだなって笑ったから、俺は馬鹿みたいに見とれてしまった。
「俺もちゃんと予備校行って勉強してくるから」
そう言うと裸の胸にぎゅっと頭を抱き締められる。俺も奏さんの細い腰に腕を回す。もう日付はとっくに超えているから、無理はさせられないけれどあんなに抱いたのに、まだセックス出来てしまいそうで、クラクラする。
「……あと……月末の週末さ、うち親いない……」
奏さんの声に俺はなめらかなで甘い匂いのする胸から顔を上げた。
「奏さんの部屋に泊まってもいいってことですか?」
「修吾が泊まりたいなら……」
「泊まりたいです」
半ば被せるように奏さんの返事を返すと、おかしそうに奏さんは笑った。でも耳の端が赤くなっているから照れ隠しだとわかる。
「夜勉強するから、泊まるなら勉強道具持ってこいよ」
「はい。でも、ベッドの中に入ったら勉強しなくていいですよね?」
俺の言葉に今度は耳だけでなく、顔も赤くなる。さっきまで沢山シてたのにこんなことくらいで真っ赤になるなんて本当にたまらない。
「……好きにすれば……って……くすぐったいよ……修吾……」
そう言った奏さんのなめらかな頬や、長い睫毛に指で触れる。
「朝ごはん、また作って欲しいです。半熟たまごのやつ」
「……お前がむちゃくちゃしなかったらね……」
「むちゃくちゃってどれくらい? 3回くらいは大丈夫ですか?」
「んなん知るかっ……っていうか、何でこんな話くらいでまた勃ってんの……今日はもうしないからね」
ゆるゆると勃ったものをなめらかな太ももに押し当てていたら釘を刺されてしまった。
「わかってます……おやすみなさいのキスだけさせて……」
そう言って、俺が沢山舐めたり吸ったりしたせいで少し赤くなってしまった、柔らかいくちびるに自分のくちびるを押し当てる。
ぷっくりしているくちびるは柔らかくて気持ちよくて、ずっと触れていたいけれど、あんまり無理させると、明日予備校でとんでもない色気を巻き散らかしかねないので名残惜しいけど、くちびるをそっと離す。
眠くなってきたのか、とろんとした瞳が可愛い。
「勉強大変なのに疲れさせてすみませんでした。おやすみなさい」
俺がそう告げると
「俺もお前が足りなかったよ……だからわざわざ会いに行った……だから謝んなくていー………………」
「奏さん?」
結構長く話してたくせに、突然眠りに落ちてしまったみたいだった。
「ああ、もう……」
俺は綺麗で可愛い憧れの人の寝顔を前に馬鹿みたいにドキドキしていた。いつまで経っても慣れやしない。そして、その寝顔を見つめて俺は案の定翌日寝不足になった。
end
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