隠し事の勧め

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 今でも重本さんが遣り手の営業マンだとはとても思えないが、俺たちを購入に踏み切らせたのは間違いなくあの人の手腕だった。 「お前に当てはまるかは知らないが、俺に足りないものは誠意だったよ」 顧客の目線に立って仕事をするスタンスにおいて、あの人の右に出るものはいないだろう。 「会社の為でも、自身の営業成績の為でもなく、クライアントの要望に真摯に応えるのが俺たちの仕事だ。仲介業者を通すクライアントは俺たちに山のようなプライスレスを求めて来る」 骨折りだろうが、何だろうが、生き残るためには応えていかなければならないのだ。 「誰にでもできる営業なんて面白くないだろう?負ける時があるのは当然、でも負け続けるなんてクソ面白くないことをお前はしたいのかよ?」 発破をかけて、俺は国立の背を叩いた。 「い、いえ。したくないです」 「だったら、次こそ逃すなよ。その為にも何が足りないのか自分で考えて、辿り着くしかない」 国立は拳を握り込んで頷いていた。
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