たった一人の為の卒業式

「卒業式もうすぐだね。学校なんてつまんないと思ってたけどこうやって振り返ってみるとまぁまぁ悪くなかったかな」
「そうだね。怪談話が有名な学校だったって入ってから知ったから、マジでって思ってたけど」
「あの有名なやつね。昔女子生徒を殺した担任の教師が頭がおかしくなって死んじゃって、自分が死んだことも気づかずに延々と卒業式を自分でやってるってやつ」
「そうそう。自分で殺しておいて成仏できない生徒のために卒業式やれば消えるんじゃないかって。馬鹿じゃないの、そんなわけないじゃんね」
「この世に未練があるとしたら自分を殺した奴を許せないからに決まってんじゃん。人殺すだけあってその教師ってちょっと頭がおかしいのかもね」
「しかも卒業式やるのがちゃんとした卒業式終わった後とかでさ。誰も関わらないからそれに気づくことができずにずっと一人でやってるらしいよ。肝試しやった人たちが見たんだって」
「こっわー。殺されちゃった女の子ってちゃんと成仏したのかな」
「どうだろうね。意外とその子も成仏しないで自分を殺した奴を苦しめ続けて楽しんでるかもしれないよ」

「卒業証書授与。三年五組、柴田ありさ」

「卒業証書授与。三年五組、柴田ありさ」

「卒業証書授与。三年五組、柴田……ありさあああああ！　くそおお！　いい加減にしろおおお！　どうやったら消えるんだよおおお！」
「ふっふふ、あはははは！」

ＥＮＤ