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「なんか、疲れたな…」
俺は全て終わってどっと疲れが襲って来たのを感じた。
清は横目で俺を見ながら。
「襲われたんだし。当然だよ」
すると、清は突然、そこに立ち止まった。
丁度沈みかけた太陽が、辺りをオレンジ色に染め始めている。清の顔もオレンジに染まって見えた。
「清?」
「すばる。怖かったろ? 俺だって怖かったってのに。しかも、見知らぬ奴にって…。もう、あんな目にすばるを合わせない。合わせたくない…」
俺は笑って見せると。
「俺、あんま深く考えないのが取り柄なんだ。今日の事も、さ。だから──」
俺はすばると向き合うようにきちんと立つと。
「お前が気に病むな。これは俺の出来事だ。それに、あんな奴がしたことで、お前に暗くなって欲しくない。俺は笑ってる清が大好きだ」
「すばる…」
「な。帰り、小腹になんか入れとこうぜ? 駅前のコロッケ食いたい! あと、隣のたい焼きも!」
そんな俺に清は苦笑する。
「うん。分かった…。そうしよう」
それから、清は見たことがない位、優しい眼差しで俺を終始見つめていた。
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