第8話 大切なもの

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「なんか、疲れたな…」  俺は全て終わってどっと疲れが襲って来たのを感じた。  清は横目で俺を見ながら。 「襲われたんだし。当然だよ」  すると、清は突然、そこに立ち止まった。  丁度沈みかけた太陽が、辺りをオレンジ色に染め始めている。清の顔もオレンジに染まって見えた。 「清?」 「すばる。怖かったろ? 俺だって怖かったってのに。しかも、見知らぬ奴にって…。もう、あんな目にすばるを合わせない。合わせたくない…」  俺は笑って見せると。 「俺、あんま深く考えないのが取り柄なんだ。今日の事も、さ。だから──」  俺はすばると向き合うようにきちんと立つと。 「お前が気に病むな。これは俺の出来事だ。それに、あんな奴がしたことで、お前に暗くなって欲しくない。俺は笑ってる清が大好きだ」 「すばる…」 「な。帰り、小腹になんか入れとこうぜ? 駅前のコロッケ食いたい! あと、隣のたい焼きも!」  そんな俺に清は苦笑する。 「うん。分かった…。そうしよう」  それから、清は見たことがない位、優しい眼差しで俺を終始見つめていた。
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