ずっと、ファンだったの

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ずっと、ファンだったの

 目の前に置かれた野菜たっぷりステーキ。  ステーキなのに、野菜たっぷりって、矛盾している気がするけど。 「ねえ、さっきの続きだけどさ」  オレは、精いっぱい彼女の気を引こうとして、あれやこれや話そうとした。  ところが。 「おまたせしました。豆腐パスタのアラビアータです」 「お、おう」  豆腐のパスタっていうよく分からないものを注文したのは、オレだ。が、空気読めよ、店員。  話が、なかなか進まない。 「、ファンだったの」 「ああ。そうなんだ……え??」  彼女は、照り焼き風のソースのたっぷりかかったステーキを切り分けながら、さりげなく言った。 「ごめん、黙ってて。ファンだったのよ、あなたの」  !!  だからか。  だからなのか?  いや、だから何なんだ?  何が何だか、急展開過ぎて分からなくなってきた。
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