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ある日の夜のこと。
僕は、アパートの隣に住む年上のお姉さんに誘われ、お姉さんの部屋に来ていた。
部屋には二人きり。
お姉さんに誘われてテンパってしまった僕は、何故か分からないけど、慣れない正座をしている。
そして、痺れる足を気にしながらも、これから起こることへの期待と不安で胸がいっぱいになっていた。
しばらくすると、準備を済ませたお姉さんが、僕が待つリビングルームに入ってきた。
「さあシンジくん、私にイレてくれるかしら…?」
「は…はいっ」
「ふふっ、緊張してるね?」
「そりゃ…、まあ」
緊張でぎごちなく笑った僕を見て、お姉さんは笑った。
「じゃあ、まずはソレをお願い。
ソレをしっかりと付けておかないと
中に入ったらたいへーん」
「ヒッ、気っ、気をつけます」
「ふふっ。大丈夫よ。シンジくんの初めてだもん。お姉さん、シンジくんの初めてを頂けるのなら、少しくらい中に入っても大丈夫。
全部飲んであげる」
お姉さんはそう言うと、僕の頬を優しく撫でた。
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「そうそう上手よ。上手い上手い。
シンジくん、本当に初めて?
お姉さん、びっくりしちゃった。
あ、こっちも準備万端って感じになってきたから、そろそろイレよっか?」
「ぼ…僕、初めてだし、上手くできるかな…」
「大丈夫。お姉さんがちゃんと手取り足取り教えてあげるから。
アッ…、だーめ。
そんなに急いだら、溢れちゃう」
「ご、ごめんなさい…」
「いいのよ。もう一度…。
そうそう。ゆっくりと…。
まずは、ゆっくりと十分に湿らせて。そうするとお豆がぷっくりと膨らんでイイ匂いがしてくるから」
「こ、こうですか?」
「そう。上手よ、シンジくん。
そのままゆっくりと続けてちょうだい。
そうしたら、次第に滴り落ちて、溜まっていくから」
「ああ、スゴイっ!
どんどん溜まってきました。
あと、鼻の奥に芳醇な香りがフワッと広がってきて…。
もう、僕、耐えられないかもしれません…」
「だーめ。まだよ。シンジくん、もうちょっとガマンして。
二人で一緒に…ね?」
「は…い…」
そう言いながら見つめたお姉さんの顔も、何かに耐えるかのような、苦悶の表情を浮かべていた。
「シンジくん、もう少しよ!」
「ああ、お姉さん!僕はもう!もう!!!ガマンが!できません!!」
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ひょんなことからコーヒー好き同士であることが判明した僕とお姉さん。
普段インスタントコーヒーしか作ったことのなかった僕がお姉さんの手解きで初めてイレたハンドドリップのコーヒー。
お姉さんと一緒に飲んだそのコーヒーは、かなりほろ苦く、大人の味がした。
おしまい
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