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〈第3部〉第6話
「優介、今日は藤堂様の屋敷に行くと言っていなかったかい?」
朝餉の時間を過ぎてもなかなか居間に降りてこない優介の様子を見にきた父・優一は、部屋の襖越しにそう声をかける。しかし、返事はない。優一は眉をひそめて小さくため息をつくと、再び優介に声をかけた。
「体調が優れないのかい?今日は部屋で休んでおきなさい。藤堂様の所へは私が行っておくから」
ここ数日、優介の様子がおかしいことに気付いていた優一だったが、本人が何も言わないので様子見を決め込んでいた。だがこうなってしまっては仕方がない。今日は大事をとってゆっくりさせた方がいいだろうと判断した。
「ごめんなさい……」
去り際に部屋から聞こえたか細い謝罪の言葉に、優一は頭を掻いて苦笑した。
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